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「どうしたのV.V.こんな夜中に」 真夜中と言っていい時間に、V.V.はアリエスの離宮へとやってきた。 --二人きりで話しておきたいことがある。急ぎなので今夜アリエスで-- 嚮団所属の従者が持ってきた先触れに眉を寄せながらも、マリアンヌは急ぎコーネリアに連絡を入れ今日の警備は不要だと下がらせた。万が一のことを考え屋敷に詰めている使用人数名にも休暇を与える。急な命令ではあるが皆シャルルのギアスの影響下にあるため素直に従ってくれる。 だから今このアリエスの離宮に居るのは、最低限の人間だけ。 本来であれば、マリアンヌがギアス嚮団施設へ向かい話をするべきなのだが、V.V.に今夜ここでと指示された以上こうするより他に手はなかった。 マリアンヌは皇妃である以上、夜中に離宮を離れることは許されない。今日中にとなればアリエスで会うしか無いのは確かだが、シャルル抜きで急ぎの用事とは...。 「ごめんね、こんな夜中に」 エントランスに一人佇むV.V.は、階段を降りてくるマリアンヌに視線を向けながら言った。その表情からは、悪いと思っていないことが見て取れる。 「いえ、それよりどうしたの?アーカーシャの剣に何かあったの?」 シャルルがいないのにアーカーシャの剣に関する話をするはずがない。だがV.V.と話すことなど他にないのだ。・・・最近ルルーシュとナナリーに興味を持っているが、やはりシャルル抜きで話すことはないだろう。 「ううん、アーカーシャの剣のことじゃない。シャルルのことなんだ」 「シャルルの?」 V.V.は口元に笑みを浮かべながら答えた。 「うん、シャルルは君と知り合ってから変わってしまった」 「だから、私を殺しに来たの?」 マリアンヌは続く言葉を遮り銃口をV.V.へ向けた。 マリアンヌの行動は予想外だったのだろう。作り笑いを浮かべていたV.V.の顔にようやく心からの表情が現れた。驚きに満ちた顔は、すぐに憎悪に塗りつぶされる。 「マリアンヌ・・・!」 「貴方が私を殺しに来たことに、気付いていなかったとでも?」 「僕がそんなことをするわけが」 「では、その背にあるものは何でしょう?」 背後から聞こえてきた声にV.V.はビクリと身体を震わせ、振り返った。そこには、同じく銃口を向けた男が立っていた。 「ヴァルトシュタイン・・・お前、なぜここに!」 「マリアンヌ様の暗殺を阻止するためと言えばおわかりいただけますか?」 「・・・っ」 背後に居るヴァルトシュタインからは、V.V.が背負っている銃火器が丸見えだ。だから、それを即座に否定することが出来ず、V.V.は唇を噛んだ。 「V.V.、あなたどうしてこんな馬鹿なことを」 マリアンヌは眉を寄せ、V.V.に尋ねた。 「・・ヴァルトシュタイン、お前までこの女に誑かされていたなんて」 V.V.はマリアンヌの問いに答えることなく、ヴァルトシュタインに失望したとうめいた。 「誑かされたわけではありません。全ては、我々の計画のため」 「ラグナレクの接続は僕のっ!僕とシャルルの計画だ!お前たちは!!」 鳴り響いた一発の銃声。 額から血を流し崩れ落ちたV.V.を階段の上から見下ろしていたマリアンヌの手には、消炎を上げた銃が握られていた。 「馬鹿なV.V.・・・ビスマルク」 「後はお任せください」 階下に降りたマリアンヌは、素早く専用の遺体収容箱へと移されたV.V.を冷たく見つめながら、銃をヴァルトシュタインへと渡した。 銃声を聞きつけ、屋敷に残っていた者達が駆け寄ってくる音が聞こえてくる。この銃声と血痕に関する説明は用意されているので何も問題はない。 マリアンヌの暗殺計画が進められていることを知ったシャルルは、その犯人が動きやすいようにと、マリアンヌに命じてアリエスの警備を手薄にさせた。そして、のこのことやってきたテロリストを、元ナイトオブシックスである皇妃マリアンヌと、ナイトオブワンであるヴィスマルクが返り討ちにした、というものだ。 階段の上に集まった使用人たちが階下を見下ろし息を飲んでいるのがわかる。ナイトオブワンと床に広がる血痕、銃と遺体を入れただろう血まみれのケースに恐怖し、そして無事な姿のマリアンヌに安堵している。敏い彼らなら、説明をしなくてもこれだけの痕跡があれば察することは容易い。そしてマリアンヌから説明されることで確信に変わる。万が一のときはシャルルの記憶改ざんもあるのだから何も問題はない 「それでは、マリアンヌ様」 ヴァルトシュタインはV.V.を入れた箱を抱えてから、騎士の礼をとった。 「間違っても逃がさないようにね」 V.V.は不死。 たとえ非力な子供の体でもショックイメージを使われたら逃げる事は容易い。だが、この箱はV.V.のために用意した特注品。蓋を閉じた瞬間に特殊な薬剤で内側が満たされるよう設計されており蘇生を阻んでいる。万が一にもここから解放された時が一番危険だとマリアンヌは言った。逃がしてしまえば、こちらの計画を全て無にしてしまう存在なのだ。 「わかっております・・・全ては ゼロ・レクイエムのために」 ヴァルトシュタインの言葉に、マリアンヌは満足気に微笑んだ。 |